July 11, 2009

中古車購入

先日の七夕の日、我が家はついにロンドンで中古車を購入した。

ロンドンにきて3ヶ月、車無しでの生活をしてきた僕ら。車がないと不便かと思いきや、家族五人の買い物がなかなか大変だったものの、それ以外は特に車を買う必要を感じなかった。

しかし、家の奥さんは「車がないの?あらまあ、たいへんねえ」という同情を結構盛んに受けてきたらしい。そんなのを尻目に、僕は、節約第一、環境第二、そして必要かどうかを第三に考えて、この3ヶ月「別にいらないんじゃなあい」と返答してきた。

ところが、6月に入り、第三の基準が突如重要になってきた。なぜかというと、

①車がないと子どものサッカーのトーナメント戦に送っていけない

トナーメント戦がここ最近続いていることは前にも書いたが、大抵近くでやるものの、車がないと移動は結構たいへんである。それで、ピーターとエマ(それぞれコーチです)に毎回子どもを車に乗せてもらってきたが、度重なるとどうにも恐縮してしまう。さらに、

②車がないとロンドン郊外に釣りに行けない

あ、もちろん、この事情は(ほんのすこーしだけ)(本当はかなり)今回の決断に影響しただけです。念のため。

実際のところ、車がないとどうしても生活できないという感じはしない。季節が変わると雨が多くなって、車がないと子どもの送り迎えが厳しいらしいが、、、、

ところで、我々が購入したのは「テームズカー」というロンドンの北にあるとあるディーラーからである。家からはピカデリーラインで1時間程度かかる(事実上ピカデリーラインのはじとはじになる)。日本人の大変感じのよい担当者がおり、オートマ車を中心に様々な価格帯の車を在庫にいれている。

お目当てだったのは中古のトヨタ。価格自体は1600ポンド。結構やすくすませた。結構古い車だが、エンジンの調子はなかなかいい。前のオーナーがあまり使わなかったようで、マイレージも6万マイル台である。これにこちらでいう車検に当たるMOTとTaxなどの諸経費を入れて、1800ポンドである。全部テームズカーがやってくれたので楽ちんだった。自分でやればもっとやすいのかもしれないが、忙しいのでやってもらった方がよい。

車を取りに行くまでに保険に入らないいけないらしい。無効が推薦してくれた日系の「モーター一番」という会社の保険に入ることになった。保険自体は申し込みから1-2時間でできる。

さて、七夕の日、テームズカーから家までイギリスで初のドライブを試みた。おそるおそるだったが、結構快適にドライブできた。イギリスの道路は日本人には結構乗りやすいと思う。ハンドルも道路交通も日本とさほど変わりない。注意すべきはラウンドアバウトぐらいか。でも、乗り方もすぐに覚えてしまった。

これで、生活も少し快適になるだろう。しかし、我々は車がなかったおかげで、思わぬダイエットができた。僕は5キロもやせて、なかなか快調である。車を買ったらまた太るだろうか。今後は、毎朝、ジョギングしないといけないかもしれない。

ところで、先日は、子どもを近くのプールに送っていこうと車に乗った。しかし、道が分からずに断念。A40という大きな道の曲がり方が分からなかったため、ずんずん遠くに行かざるを得なくなった。結局一時間かけて大回りして戻ってくる。帰ってきて地図を見たら、10分で行ける場所にプールがあった。一時間も僕らはどこを走ってきたのだろう。。。。。

まあ、方向音痴にかけては自他共に認める僕。昨日は、初めて道に迷った記念日でもあったことになるが、カーナビよりも裏道に詳しいうちの奥さんも、道に迷ったという。ロンドンではうちの奥さんのカンも働かないらしい。「英語だからよ」と言っていたが、関係あえるか知らん。

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July 08, 2009

中国! 中国!

先月、ストックホルム国際平和研究所発行の2009年度版の年鑑で、中国の軍事費が世界第2位と発表された。そうか、中国は軍事大国なんだ、と、大学図書館でインターネットのニュースをみながら、改めて納得した。

勿論軍事費世界一はアメリカである。そして、一位と二位の差が相当あることもこれまた周知である。

それでも日本は、世界第二位の軍事大国であるだけでなく、ここ21年間、二桁の軍事費増強を続けていて、しかも本当のところ、どの程度国家予算に軍事費が占めているのかは全くの闇の中であり、さらに鄧小平を最後に軍人出身の国家主席が出ておらず、軍ににらみがきかなくなっていると言われている国を、隣国としているのである。

さらに、先日の七夕の日には、ウルムチでの暴動がロンドンでもメディアに取り上げられた。中国共産党に対する国内の批判も高まっている。国内情勢はいかにも不安定である。

さらにさらに、日本と中国との間には、これまた体制不安定で、信じられない実験と称する物を繰り返している独裁国家がある。中国はその国を抑えられる数少ない国と言われているが、実際の両国の関係は、これまた闇の中だ。

ところで、僕がここ数年関心を持っている松村謙三という政治家は、戦後の日中関係の井戸掘り人といわれる人物である。日本と中国に国交がない時代に、池田勇人の了解を得て(その間には石橋湛山がいた)中国との交流を図り、国交樹立まで非公式の関係を保つことに尽力した。

しかし、松村は戦前から日中提携にきわめて積極的であった。そして松村は、中国にも「デモクラシー」が確立することを前提に、日中提携を図ったのである。僕はこのことを数年前にとあるシンポジウムで報告し、先日英語で論文にした。その構想は、日本におけるデモクラシーの確立も条件としていた。つまり、松村は、日中両国が国内政治を安定させること=「立憲政治」を確立すること、を前提として、日中提携を試みたのである。

この構想の同時代的な比較検討はともかく、日本は、再び「中国」と、そしてその国内情勢と、真剣に向き合う時代を迎えたのではないか。果てしない軍拡を進め、内部に巨大な混乱を抱えている(ように見える)中国。しかし、間違いなく次の時代の旗手になるだろう中国。

中国!中国!である。

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July 04, 2009

イギリスのフライフィッシング①~Walthamstow Fly Fishing Club~

イギリスに一年しかいられない我々は、他の日本人から、じゃあやりたいことなんでもやらなきゃ、とよく言われる。確かにそうだ。夏も真っ盛りになってきた6月、いろんな人が「ロンドンの夏はwimbledonとともに過ぎてゆく」というので、家の奥さんはそそくさとWimbledonに出かけた。今年はクルム伊達も出場していたようだが、井上みやびさんの試合だけは僕ものぞくことができた(テニスなんて全く関心のない僕だが、伊達公子だけは大好きである。みれなくて残念だった)。

でも、僕にとって、「夏」はメイフライと共にやってくる。そう、フライフィッシング、イギリスと言えばフライフィッシング。僕には、それ以外、考えられない。

4月にやってきた僕らは、なんだかんだと引っ越しに時間がかかり(中には引っ越し完了まで3-4ヶ月も時間がかかる人もいるのである)、その後研究の準備(公文書館の手続きやなんやかや)を済ませると、もう6月になっており、ロンドンの樹木もすっかり夏めいて、僕を川辺へと誘っていた。しかし、結局三回しか釣りに行けていない。

この間、僕はロンドンのフライフィッシングクラブに入った。このクラブの釣り場はロンドンの北、Walthamstowというところにある。日本人が連絡をしてくることもそうだが、本当に入会するなど、珍しいらしい。もう何人かのメンバーとはWaithamstowで一緒に釣りをした。

Img_1466 Walthamstowは決して景色の素晴らしい場所ではない。先日あったあるプロのインストラクターは、「あそこで釣りをすると牢獄で釣りをしている気になる」と言っていた。うーん、ちょっと言いすぎだと思うが、確かに景色に関してはちょっとした不満はある。しかし、入り口などは一寸いい感じだし、夕方の景色などはなかなかである(下のリンクからクラブのHPに行けばなかなかきれいな景色が見られます。ついでに言えば、今の時期、空が暗くなるのは夜の10時くらいです)。

そこで釣れるレインボーはそもそもはストックドトラウトである。しかし、広大な(本当に広い)このレザボアで、彼等は殆ど野生に戻っている。なかなかの引きを楽しませてくれるので、「魚を釣る」と言う点で言えば、決して悪くない場所だ。

その釣果報告はまた別の機会にするとして、このクラブと釣り場のことを紹介しよう。

Img_0832 このクラブは、ついこの間創設25周年を迎えた。イギリスの伝統あるフライのクラブとはことなり、歴史も浅いが、それでもロンドンで手軽に入会でき、気軽に釣り仲間をつくるにはなかなかよい。

Walthamstow Flyfisher's Club

Img_0844

僕はここの会計をやっているスティーブと言う青年とロンドン市内で会った。僕はriver fishermanで、 still waterの経験がないというと、このBoobie flyをくれた。シンキングラインをつかってフライを沈める釣りなのだが、この目玉が発泡スチロールでできているので、フライ自体は水中に浮かぶという仕組み。実際レインボーの反応はよい。

ロンドンの中心からは、VICTORIAラインでトッテナムヘールというところでおり(アーセナルの近くです)、そこから歩いて10分で釣り場の入り口に着く。そこからは、セルフサービスで、チケットを購入する。2匹で15ポンド(2300円程度)。イギリスでは安いほうだし、何よりも地下鉄でいけるので便利だ。それに、環境庁の発行するロッドライセンスも必要である。これは郵便局で買えるもので、一日3ポンドくらいだが、年間で25ポンドくらいなので、僕は年券を購入した。これがないと信じられない金額の罰金が課される。これは心して絶対買ってください。

(以上のことについて、詳しい購入方法など知りたい方がいれば、まずはリンク先のクラブのホームページを見てください。コメントくだされば、日本語で説明します)。

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July 03, 2009

米中提携と米中衝突

今週は、日本からお客さんがきている。でも、前から楽しみにしていたアメリカからの有名な評論家の講演会があって、二日間、家を抜け出して出席した。

いずれも、金融危機以後の時代予測についてだった。だれもが言うように、アメリカの一国支配はこれで終わるだろうということで、二人は共通していたが、「アメリカの時代の終わり」をめぐる解釈について、二人は大きく異なっていたのが面白かった。

一方は、アメリカの一国支配の終わりは、アメリカの自由民主主義的世界の拡大と言う外交方針の完成を意味するという解釈をした。アメリカの外交方針が、本当にそうなのかということは置いておいても、なかなか面白い解釈だった。他方は、世界は今後G2、或いはG3で運営されるのではないか、と語った。つまり、アメリカ、EU,そして中国である。これはより直接的に世界の多極化を予想する見解であり、アメリカの時代に終わりをどこかで歓迎するものだった。

僕には正直後者の話しに共感が持てなかった。前者の話しの方が外交政策により直接的に影響を与えうる立場にある人物だったこともあって、話しも緻密で、専門的であった。後者は、、、、彼はジャーナリストであるが、極めて政治家的な人物であった。話は上手だし、風格もあった。なんせ、オバマの友人である。

ところで、両者とも、一国支配の座から降りたアメリカが、今後は「メディエーター」として重要な役割を果たしてゆくだろうと言う理解を示したことはなかなか面白かった。確かに、アメリカの衰退は中長期的には確実だ。しかし、権力の交替は、「次の選手」が登場しない限り起きず、その間はアメリカは重要な仲介者となりうるというのである。

これは学者や評論家の客観的認識というよりは、アメリカの願望でもあろう。彼らもそれは分かっている。しかし、選手交代が平和のうちに行われるとは限らない。将来を予測することは出来ないが、日本やドイツは1930年代に、衰退するイギリスに変わって、「次の選手」となるべく、手を上げ、その選手交代の様相は結局「戦争」に結びついたのではなかったか。中国やロシアやインドが戦争をしないとは(もちろん、戦争するとも言えないが)限らないが、アメリカから正選手の座を禅譲されるとは当然予測できないだろう。

また、筆者のように1930年代と今を単純に比較することは出来ないと彼等が言っていたのも印象的だった。1930年代にはバランスオブパワーが崩壊した、今はそうなっていない。彼らはそこに最大の相違を見ている。これは確かにそうだと思う。

その際、特に極東におけるポシブルバランサー(つまり、中国の台頭にある種にブレーキをかけられる国)は、間違いなく日本である。しかも、アメリカが日本を同盟国として重視してくれる限り(その保証はどこにもないが)、日本は米中の間のメディエーターになりうる。

しかし、それでも、米中が提携するのか、それとも衝突するのか、分からない。オバマと言う、若く、聡明な大統領を選び、どうやら優れたブレーンをもホワイトハウスに集結させているアメリカが、未来への生き残りをかけて考えうる限り最高の外交を行っている現在、日本が中国と覇を競う時ではない。日本は、寧ろ、一方で米中提携の可能性を、他方で米中衝突の可能性をにらみながら、「海」と「大陸」の双方を睨んだ外交構想を打ちたてる以外ないのではないだろうか。日本はかつて大陸を目指して挫折した。戦後は海を見るべきだと考えた。しかし、本当はその双方を見なければならない。イギリスもアメリカとヨーロッパの双方をにらみながら、戦後を生きてきたのである。

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July 02, 2009

マイケル・ジャクソンの死

先日の朝、いつもの通り、子どもを学校に送って帰ってくると、妻がひとこと、「マイケルジャクソンが死んだって」。

はっ? マイケル?ロンドンに来るはずだったあのマイケルか?

妻もその日の朝のテレビのニュースで知ったらしい。それからと言うもの、ロンドンのテレビや新聞にも毎日のようにマイケルのニュースが出ている。

Img_1810先日、リーズ迄行って学会を覗いてきたが、地元紙にも「リーズにマイケルが来た日」という特集をやっていた。交通費をケチった僕は、リーズから長距離バスで帰ってきたが、その途中、車窓からみえたロンドンの中心部でもマイケル追悼の集会が開かれていた。先日は、ピカデリーの近くでもマイケル追悼コーナーが出来ているのをみつけた。

マイケルジャクソンはロンドンで50回ものコンサートを開催する予定だった。それが全てキャンセルになった。一説には自殺説もあるが、その引き金がこのロンドン公演だったということだ。ロンドン公演など(それも50回も!)到底できるような状態にはなかったのだそうだ。真相のほどは分からない。

それにしても、マイケルは死んで本当に伝説になった。最近は寧ろバカにされることの方が多かったのに。

僕が小学5年のころだっただろうか、福島の田舎で洋楽にかぶれていた僕は、このKING OF POPの全盛期を同時代で知っている。

マイケルジャクソンの死は、僕にとっても小さな「時代の終わり」を感じさせる出来事ではある。

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June 25, 2009

ロンドンにおける詐欺

とある日本人から聞いたのだが、昨年いくつかの詐欺事件があったらしい。日本人の旅行者や若者が狙われたのだと言う。

ここあたりの田舎ではなく、ロンドンの中心部が舞台なのだが、まず、数人の日本人が、一見イタリア人風の旅行者に道を聞かれるらしい。すると、警察官と称する二人組が、偽造の警察手帳を見せ、そのなんちゃってイタリア人に尋問をすると、そのイタリア人は、警察官にIDやクレジットカードを見せ、暗証番号まで伝える。警察官は、無線機を使いどこかに確認をとると、今度は日本人の番である。同じことを要求され、それに従ってしまうと、、、、

警察官と自称する者たちから返却されたカード類、そこから1~2枚が抜き取られ、数十分で不正使用されると言う訳である。

さて、今年もででてくるだろうか、このイタリア人。

スリといえば、僕は、昔、奥さんとイタリアに言った時、生まれて初めてスリに会った。あれは、ミラノの駅前だったと思うが、子どもを抱いたお母さんにお金をせびられた。その隙に、奥さんがカバンから化粧ポーチを盗まれたのだ。もちろん、スリは財布だと思って盗んだのであるが、我々は二人とも全然気がつかなかった。

「ああ、こんなこじきもいるんだね」なんて話していたら、口笛で振り返させられた。そこには少年が立っていて、「マダム!」と言いながら、何時抜き取ったのか、奥さんの化粧ポーチを投げ返して、どこかに消えて行った。

あれはもう10年前のことだ。考えて見れば芸術的なスリだった。昨年のイタリア人は、もしやあの少年が、大きくなって、そして今度はロンドンで、、、、

そんなことはあるわけ無いか^^

でも、もし、これからロンドンに来られる方、いらっしゃれば、注意してください。

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June 24, 2009

歴史の証言と政治感覚

ロンドンにきて、特に何の義務もない僕は、よく大学などでやっているセミナーに参加する。週に一回は大抵耳学問をする。

先日は、とある場所で、いわゆるオーラルヒストリーを見てきた。内容については詳しくは書けないが、イギリスの公文書では全く危機など存在しなかったとされているある時期、核戦争勃発の覚悟をして過ごした人たちの証言を聞いた。

日本でやっていたオーラルヒストリーでもこんな生々しい話はなかった。久しぶりに歴史の証言のすごさを感じた。

それにしても、あのとき、世界は本当に核戦争の一歩手前まで行ったんだと実感する。そのころの日本は高度成長真っ盛りで、我々は「三丁目の夕陽」を懐かしむ位のことしかできない。

考えてみれば、アメリカの核の傘に守られていた日本は、冷戦を本当には体験しなかった。また、テロとの戦いも本当には体験していない。それは本当に幸福だった。

しかし、前世紀にも第一次大戦を本当には体験しなかったつけが、第二次大戦で回ってきたのだと言う解釈もできる。

現代日本はすでに二つの大戦をミスしている。

そのおかげで、どの程度国際政治の感覚を失ったのだろう。

今日、ふとそう感じた。

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June 19, 2009

怒鳴るべきか、怒鳴らざるべきか

僕は、仕事柄、いろんなところで日本の文書を数々見てきた。しかし、間違ったファイルを出されたことなど一度もない。

でも、イギリスでは既に二度あった。今日で何と三度目だ。

こんなときには、ああ、日本ってなんていい国なんだろうとしみじみ思う。こんな無駄な間違いは、日本じゃ全然なかったな。こんなことしてたらバイトくびになっちゃうよ。

それに、今日は公文書館でばったり日本の知人に会った。調査旅行に来ていたらしい。こんなことがあると、よけいに日本のことを思い出す。

ところで、こういうことに耐えかねて、こちらの日本人は、帰国するまでに何度かイギリス人を怒鳴るらしい。テレビの修理に約束の時間に来ない、物を送ってこない、平気で二度も三度も同じ請求書を送ってくる、などなど。。。。僕も困ったことは何度かある。特に電話(BT)と銀行口座の開設、これがうまく行かなかったので、最初の一ヵ月半結構やきもきしたが(これ、渡英準備編を再開させていずれかきます)、それでもまだ一度もイギリス人に怒鳴っていない。

イギリスにいる日本人は、怒りすぎなのではないかしらんと思うことがある。もちろん、イギリスのサービスは、日本では考えられないくらいひどい。しかし逆に言えば、日本は相手の気持ちになってサービスすることが常識となっている特別に礼儀正しい国なのだ。その尺度でイギリスを見てはいけない。日本人は相手の気持ちを忖度することにかけては世界一であり、そう言う国の国民として、ときどき「ふーっ」とため息でもつきながら、イギリス人を優しく見守って上げる余裕を持つべきなのである。

ところで、イギリス人はとても優しい人達だ。うちのフラットにはいわゆる外国人(イギリス国籍をとっていてもいなくても)が多いせいもあるが、一見して東洋系の僕らに、あたかも自分たちが最初にロンドンに来た時の経験を重ねあわせるかの如く、とーっても優しく世話してくれる。隣の本物のイギリス人の老夫婦は、長いスペイン旅行から帰ってきたとき、妻をみるなりどこにこんな力があるかと思うくらい「ぎゅーっ」とハグしてくれたし、いつもいつもとてもおもしろい冗談を言って、異国で暮らす僕らの緊張をほぐしてくれる。

先日あったH先生も、北の人だけれども、その後何度もメールをくれて、旅行に行くならこのあたり、君の関心ならこんな本を読みなさい、と沢山アドバイスをしてくれる。ロンドン生れのN先生も、ご自身の編纂された本を送ってくれたし、受け入れ先のB先生も何かと気をつかってくれる。

会社のサービスだってそうである。僕は、ある会社と昨日(もちろん英語で)とある交渉をしたが、ちゃんと対応してくれた。学校の給食の過払いもメールしたら一発でキャンセルしてくれた。

イギリス人は、実はきもちの優しい、とても素敵な国民である。ただ、なかなか他人に素直に物を言えないので、なんとなくつっけんどんに見えてしまうのだ。それにイギリス人は不器用な国民である。僕は物を捜したりするのが下手であるが、僕よりも彼等は劣る。逆に日本人も、西洋人にははっきり物を言う=怒鳴る、と考えるやや短絡的な思考法を持っているのではないかと思う。それに他国民はもう少し休み休み考えたり行動したりするのだということを前提とすべきである。我々は忙しすぎるのだ。

とはいえ、やっぱり、日本の方が何かと安心できることは確かだ。やっぱり、ファイルを間違うなんてねえ。。。。20083と196733って、どう考えても全然違うからねえ。。。。

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June 18, 2009

サッカーのトーナメント戦とスカウト

先日の週末、二人の子どもサッカーのトーナメント戦があった。

8月からサッカーのシーズンが始まるイギリスでは、開幕直前の6月から7月にかけて、いろんなチームが各自でトーナメント戦を主催する。これは、シーズン開幕前に資金集めのために行うもので、一人から会費を三ポンド程度集めて行う。今回は、ヒースロー空港の近くにあるクラブが主催者だったが、この日一日だけできっと1500ポンド近くは集まったに違いない。

ところで、うちの子ども達にとってはイギリスで初の(次男にとっては人生最初の)試合経験になる。長男のトーナメント戦は既に決まっていたが、金曜日にルルルと携帯がなって、見知らぬ番号なのでとりあえず英語でハローと出ると、次男のチームのコーチからの電話で「あしたのトーナメント出るよね」と来た。

「え、あ、明日ですか???」

いくらなんでも急である。でも、とにかく、「ハイ出ます」と返事をして、出かけていた奥さんと携帯で相談。僕はここ数週間、とにかくいろんな人に会っているので、週末も用事がたまっている。結局、土曜の次男のトーナメントは妻が、日曜の長男のトーナメントは(これは前から決まっていたので)僕が行くことに決定する。

Img_1437_2 長男は、日本にいるときに二つの目標を立てていた。まずは本番の試合にレギュラーで出してもらえるようにがんばること、そして一点取ること。

結構緊張していたように思う。結果、予選は一勝、一分け、二敗で、四位通過。準々決勝で別のグループの一位のチームと戦うが、延長戦までずれ込むものの、惜しくも3対2で負けてしまう。結果10チーム中8位だった。

しかし、センターバックとミッドフィルダーとして全試合出場させてもらっただけではなく、ちゃんと一点入れてきたのだ。目標を早速達成してしまっただけではなく、Aチーム(うちの子はBチームだった)のコーチから、「活躍したらしいね。お前はAチームでもよかったな」と言われる。通訳してやると嬉しそうだった。

Img_1447 ちなみに、このAチームは結局優勝した。その得点の3/4を入れたのがアフリカ系のダニーと言う選手である。6試合で14、5点も入れたらしい。そのダニーは、かのアーセナルからスカウトが来て、そのうちこのチームをやめてしまうだろうと監督のエマが言っていた(監督は女性、というか女の子です)。エマの話しではこういう小さな地域のトーナメント戦などにもクラブからのスカウトがくることがあるらしい。シーズンが始まると、結構大きなクラブチームのスカウトも来るのだと言う。

うちの子は入団当初からダニーに気にいられて、パスの相手になったり、一緒に体操したり、何時も一緒に練習しているので、「ダニーは多分来シーズンはいないよ」というと悲しそうだった。英語が良く分からないので、その話しはしたことがないらしい。でも、急に顔を上げて

「おれはアーセナルから誘われたって行かないけどね」

という。

あ、っそ。ほんとに誘われてからそういうこと考えてくれ。

Img_1565 さて、サッカーが大好きになってきた次男は、というと結局全敗だった。すごく悔しそうだった。

イギリスは競争社会で、「皆一番~」とかやらないことが多いように思う。その代わり、親もコーチも結果に関わらず徹底して子どもを褒めている。その褒め方は日本人の目から見ても尋常じゃない。言葉で褒めちぎって、髪の毛をぐじゃぐじゃにして、大きな口を開けて子どもを丸飲みしそうな勢いだ。

で、まねしてそうやって褒めてやると、嬉しそうにしていた。昔は嫌がっていたのに。だんだんイギリス人っぽくなっている。次いでに次男にアーセナルのスカウトのことを話すと

「えーっそうなの?僕のところにはチェルシーが来るといいな。僕はチェルシーだったら行ってもいいよ」

と言う。

日本の小学校一年生がチェルシーからスカウトされれば、新聞に載っちゃうよ、きっと^^ 

でも、イギリス人は「どうせ。。。」とか「絶対無理」とかあまり言わないような気がする。確かに、人生やって見ないとわからない。

シーズンまでにあと三回くらいはトーナメント戦がある。

くるといいね、スカウト^^

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June 17, 2009

誤解されている国、イギリス

例えば、日本は二大政党制に向かいつつあると言う意見があり、日本の新聞の政局ウォッチャーもそのようなことを前提にして記事を書いていたりする。そしてそのモデルはやはり英国であるとされ、昨今、英国の議院内閣制に対する関心も高い。

僕も大いに関心があるのだが、日本のイギリス政治に対する理解には、いくつもの誤解がある。まず、英国は二大政党制ではあるが、イギリスにも政党は複数存在している。しかも、英国の第三党である自民党は近年では20%近くの得票率を得ているのである。これがイギリスの二大政党制の現実である。イギリスでは保守党と労働党と言う二つの政党が交互に政権を取るものの、第三の党に相当程度支持が集まる政党システムをもっている国になっているのであって、単純に二大政党制の国といういい方をすることは適当ではない。つまり、そこには政党連合の力学が常に生まれるのであって、二大政党制=連合政治の終焉と言う図式は、実は二大政党制の本場たるイギリスでも成立していないのだ。

またイギリスの議院内閣制は、与党の閣内大臣と官僚の接触が原則禁止されている。政と官の間での政策のすり合わせは原則ありえないとされている。小沢時代から、民主党は、政治主導と言う名の下に政治任用の必要性をかなり過激に説いてきたけれども(それにしても、小沢が突如代表を辞任したと思ったら代表代行になったのは、どう言う理屈なのだろう。だれか教えてください)、逆に言えば、政治主導を実践できる政治家は、すべからく政策に詳しく、専門家集団たる官僚を使いこなせないといけなくなる。「この件については大切ですから、政府委員に替わって答弁させます」と言うような台詞は、決して政治家から発せられてはいけない。そういう政治家の能力を前提としてイギリスの議院内閣制は成り立っているから、例えば「世襲政治家」(がいけないなどとは僕は思わない)が、もし地盤を守るためというだけの理由で、あるいはその選挙区の利害を守るというためというだけの理由で、後援会から選ばれているのだとすれば、そんな政治文化の中でイギリス流の議院内閣制(政治主導の政策決定システム)を導入したら、日本政治は大変なことになるはずである。

では、イギリス政治(あるいはイギリスの政治家)は日本よりも高尚かと言うとそんなことはない。今イギリスのメディアをにぎわせているのは、議員の歳費の使い方の問題である。閣僚の夫がポルノを見たお金も税金で払われた労働党だけではなく、保守党にもそれが飛び火した。結局は労働党とブラウン政権を死に体にしたのだが、いずれにせよひどい話しである。

また、イギリス国民は政治に高い関心を持っていると言うのも俗説である。無党派層も多ければ無関心層も多い。歳費の扱いの問題で、この傾向も拍車がかかったように思える。政治家や官僚に人材が集まらないのが今のイギリス政治の最大の問題であると言う意見すら識者の間に見受けられる。それだけイギリス人の政治離れは進んでいるのだが、先進国の何処でも見られる現象がイギリス政治も確実に蝕んでいると言うことは確かだ。

ついでに言えば、イギリスの官僚たち、彼等は実は未だに定義上は「国王の官吏」である。そして、基本的には大臣に仕える。その大臣は国王の臣下である。この言葉を文字通り捉えれば、イギリスの官僚は民主的では全くない。

つまり、イギリスは、日本と長い関係を結んでいるかつての同盟国であるけれども、最も誤解され、あまりに理想化されている国の一つなのではないか、と僕は思っている。

しかし、それはイギリスを等身大に見ようと言うことであって、イギリス政治からは学ぶことが大いにある。

例えば、矛盾を抱えつつ、少しづつ進められる社会や政治面での様々な進化。国王の官吏たるイギリスの官僚制が、1980年代に国民に対するサービスの向上にいち早く対応したことなどはその一例に過ぎない。

今の僕がイギリス政治を学ぶと言う意味で今面白いと思っていることの一つは、第二次世界大戦時には「衰退した大国」となっていたにもかかわらず、今でもイギリスが衰退しきらずにいるのは何故かという問いかけである。

極東の軍事大国・経済大国は間違いなく中国になる。中国の政治的経済的将来に大いに不安はあるが、アメリカが世界の覇権国からアメリカ大陸の守護者へと後退してゆく(それはアメリカにとっては極めて幸福な選択肢の一つである)ことが長期的には確実な現在、中東と同様極東の国債関係にも大混乱が生じる可能性は否定できない。その際にアメリカは日本ではなく中国をパートナーに選ぶだろう。日本が今のままだったら間違いなくそうなる。

つまり、日本が「衰退した経済大国」になる日も遠くはない。どうやって衰退を押し止めるかを考えても無駄である。日本の奇跡はもう起きない。日本はどうしたら立派な先進的国家として国際社会に認められるのかを考えるべきではないか。

すくなくとも、それは、日本が躍起になって試みようとしている(成功しているとはいいがたいが)政治や社会の目に見える「改革」のおかげでは全く無いように思える。

実はここ20年あまりの間でイギリスは信じられないほどの制度改正を行っているのだが、思いつきの改革が多い。つい先日もそんな改革があったと今日お会いしたイギリス人の先生が言っていた。彼の言葉が振るっている。「イギリスの首相は朝起きて思いついたことを閣議で言えば何でも出来ちゃうんだよ」。

こんな思いつきの改革なんぞにそんなに効果など期待するほうが間違っている。やはり、吉田が言うように「文化を意識しない」ほどに確立し、融通無碍に国と社会を支えている英国の文化あるいは生活そのものがイギリスの力であり、その文化あるいは生活の総体としての歴史が英国を支えてきたのだろう。

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